第102話身近だけど忘れられない

―ベア―

ダックスの言葉を聞いたあとも、胸の鼓動は収まらなかった。肌を重ねてから、どれほどの時間が過ぎたのだろう。まるで一生分の歳月が流れたみたいだ。意地の悪い焦らしのように、彼のことをほとんど毎晩のように夢に見るようになっていた。目が覚めれば、張り詰めたものを鎮めるために自分で触れてしまい、そのたびに、余計に彼が欲しくなる。

まだ彼に腹を立てていたいのに。どうして怒るべきなのか、その理由を思い出そうとする。けれど――。

『俺は妻を迎える……』

その言葉が頭の中で反復した。背筋にぞくりと震えが走り、期待で蜜壺がきゅっと締まる。

ダックスはロンテルと話していた。集中したかったのに、さっ...

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