第114話お父さんとの夕食

――エイサ――

「これをする前に、もう少しだけ時間があればよかったのに」

食堂の扉へ近づくにつれ、彼女の声はやわらかく、ひどく小さかった。ダクスはその手を、自分の手の中でそっと包み込むように握っていた。

悪夢から目覚めたあと、ダクスは彼女を抱きしめ、なだめるような一定のリズムでゆっくりと身体を揺らしてくれていた。どれほど長くそうして慰めてくれていたのか、彼女にはわからない。ただ、それではまるで足りなかったことだけははっきりしていた。

このあと彼の父親と夕食をともにすることになっていたが、彼女にはまだ向き合う心の準備ができているとは思えなかった。悪夢の中で見た、あの恐怖に染まった彼の表情...

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