第148話埋もれない記憶

カオル――

村を歩き回って、ほとんど一日が過ぎていた。歩き始めたとき、彼は苛立っていた。母を置いて出るのが嫌で、そして何より、必要以上にミスティに近づくつもりなどなかった。

――彼女はもうミスティじゃない、カオル。

一日じゅう、そう言い聞かせてきた。彼女はいまやミスタル。エイサ直属の護衛だ。

家へ戻る道すがら、歩きながら彼の視線がふと彼女の目元へ滑った。彼女の肩はようやく力が抜け、口元の端がわずかに持ち上がって、小さな笑みを形づくっている。

正直になれば、彼は認めざるを得なかった。今日という一日を楽しんでいたし、彼女と一緒にいる時間も、思いのほか悪くなかった。まだ戻りたくはない――そ...

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