第149章真実は常に最高

ミスタル――

庭の向こうの空は、黒々と膨れ上がっていた。村の上を厚い雲が転がるように覆い、最後の光もすでに呑み込まれていた。

ミスタルは背後で厩の扉を閉め、ジャクスの様子をもう一度だけ確かめると、掛け金に手をかけたまま立ち尽くした。

冷たい空気が外套の下へとすべり込んでくる。だが、ほとんど感じなかった。胸の内にじわじわと積もりつづけていた重みのほうが、よほどはっきりしていたのだ。歩きを終えるまでのあいだに、彼女はカオルの父の記憶に心のどこかを和らげられてしまった。本来なら律しておくべきものを緩めてしまった。そして、自分がここへ来た本当の理由を、唇の裏に隠したまま先延ばしにしてしまった。

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