第20章名に宿る満足

――ダックス――

「ええと……その……」

彼を助け起こしたせいでもう頬は赤くなっていたのに、さらに色が濃くなったようだった。

彼女の目がいったん彼の目に戻り、それから傷口へ落ちた。眉を伝ってまた血がにじみ、ぽたりと落ちるのを彼は感じた。ずきずきと脈打つように痛んだが、彼の関心はそれよりも彼女の返事に向いていた。

彼女は脇の小卓から布切れをひとつつかみ、身を乗り出すようにして彼の傷の手当てを始めた。

「ええと、わたしが最初にシュヴァリエに見つけられたとき、あの人たちはわたしと母をあなたのお父上のところへ連れて行ったの。パパはもう処刑されていて……でも、わたしはどう扱えばいいのかわからない存...

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