第36話行方不明のプリンセス

――ダックス――

彼は愕然とし、信じられない思いで部屋を見回した。化粧台も棚も脇へ押しやられるか壊されるかしており、ベッドの柱の一本は折れて床に転がっていた。天蓋から外れた紫のカーテンが、その折れた木のまわりにどさりと垂れ、これから起こることを不吉に告げる前触れのように見えた。

さらに中へ進むと、自分が自分ではない何者かの身体に入り込んでしまったような感覚に襲われた。機械じみていて、どこか壊れている。目が床ににじむ赤い艶をとらえるより先に、その匂いを鼻が嗅ぎ取った。そして化粧台の近くの床に飛び散った血痕を見つけたとき、腹の底がきりきりとねじれた。

ドレスやほかの布地が、衣装部屋から引きず...

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