第44章記憶は面白いもの

――レベッカ――

(……変だ。月の見え方がおかしい。)月はちぎれたみたいにぼやけ、半分は空の片側に、もう半分は彼女の真上に浮かんでいた。

アレックを呼ぼうとした。けれど口の感覚がない。そこで初めて、自分の身体のどこにも感覚がないことに気づいた。恐怖がこみ上げ、叫ぼうとしたが、喉も胸も震えず、音ひとつ外へ出なかった。

恐慌が容赦なく彼女を押し潰した。星も月も動かないのに、彼女はその場で、何日も――何週間も――発狂したまま横たわっていたように思えた。狂乱は少しも収まらない。(どうして動けない? どうして動けない?)

心臓が激しく打ち、耳鳴りがしている、と言うことならできた。だがそれすら感じ...

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