第69章往年の記憶

――ベア――

汗が目にしみて、彼女は乱暴に拭った。もう何時間も走り通しだ。月が沈み、ぬくもりのある朝日が昇るのを見た。最初はその温かさに感謝していたのに、いまはその光を呪っている。

彼女は馬を小道の脇へ寄せ、通り抜けてきた明るい林の木陰へと入れた。馬を休ませるためでもあり、自分も馬も少し冷ますためでもある。少し先には、彼女がよく知る小さな町がある。アルファのコテージにいちばん近い、あの村だ。最後の丘を越え、視界にそれが入った瞬間、胸の奥の息がやっと通った。

屋敷を出てから、彼女は何時間もこの獣を駆った。誰かに見られてはいないか、あるいはダックスが、遠ざかっていく彼女の魂を感じ取るのではな...

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