第89章思い出の中のガーデニング

 ベア

 彼女は肥えた黒土に指を深く沈めた。すると前と同じように、指のあいだから大地の命が脈打つのを感じた。村に来たあの日、自分の半神の力がルナの力と溶け合うのを覚えて以来、彼女にはあたり一面に満ちる大地の生命が感じ取れるようになっていた。

 台所の窓辺に置かれたワスレナグサの小さな葉から、景色のあちこちに点在する大きな松の木々に至るまで。自分が何者へと変わっていくのか、そのことに畏れにも似た感動を覚えずにはいられなかった。あれほど多くの悪いことのあとに、こんなにも多くの良いことが訪れるなんて。

『これこそが、本当のおまえなのよ、ベア』

 温かなものが彼女の芯を満たし、その言葉にベアは...

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