第108章 オークション盗作騒動

VLNがオークションを開催する当日、会場には記者が大勢詰めかけていた。今回のジュエリーオークションで、いったい誰が名を上げるのか――皆が興味津々だ。

小林茉由はVIPボックス席から、フロアを行き交う人波を眺めていた。ふと隣に気配を感じ、顔を上げる。そこにいた人物に、思わず目を瞬かせた。

「名優の桐谷さんが、どうしてここに? このクラスのオークションにまで興味あるの?」

新作のオークションといえば、だいたいは名家の令嬢やセレブ妻が社交のついでに顔を出す場だ。桐谷陸は普段、徹底して表に出ないタイプである。ここにいるだけで意外だった。

「デザイナーものの脚本を一本受けてさ。取材がてら、見物...

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