第116章 小林家に泊まる

小林多江は不機嫌そうに口を尖らせたが、葉山墨也の顔を立てるつもりなのか、ぐっと堪えた。

「あなたは小林家の娘なんだから、嫁ぐとなればうちと無関係なわけないでしょ。私はおばあちゃんよ。いずれ葉山社長が結納を入れてくださるなら、小林家だって嫁入り道具を持たせるわ」

多江の言う「嫁入り道具」など、せいぜい上等な布団を数組――それが田舎の実家の慣習で、娘を嫁に出す際の最高の待遇だった。

「母さん、それは茉由自身のことだ。本人に決めさせてやれよ。余計な口出しはするな」

話がどんどんおかしな方向へ転がっていくのを見て、小林邦彦は眉をひそめた。

母の腹の内など、手に取るようにわかる。だが自分は娘...

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