第135章 非情

「先生、この薬……いったい何なんですか」

小林茉由は、自分が幻覚を見たことをまだはっきり覚えていた。

「幻覚作用のある薬です。繰り返し使うと依存しやすい。いわゆる違法薬物の類ですね」

医師は検査結果に目を落とし、続ける。

「ただ、回復が想像以上に早い。採血の結果を見る限り、体内から薬物は完全に抜けています。少し特殊な体質なのかもしれません。以前、何か薬を常用していましたか」

茉由はぱちぱちと瞬きをした。

「いいえ」

「なら例外でしょう。この薬によるダメージが、あなたには比較的少なかったようです」

医師は微笑んだが、内心は驚いていた。搬送された当日は明らかに薬が回っていて、恐ろ...

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