第144章 何も得られない

医師は検査結果を見た瞬間、察してしまった。――この手の薬物に、小林千代が初めて触れたわけじゃない。身体の順応が早かったからこそ、胎児に目立った影響が出ずに済んだのだ。

だが、だからといって許せる話ではない。彼女は妊婦だ。医師の胸に、強い不快感が湧き上がった。

妊娠していながら、こんな遊び方。しかも夫がいる身で――どれだけだらしないのか。

ドンッ!

病室の扉が乱暴に押し開けられ、小林邦彦が真っ黒な顔で入ってきた。

小林千代の心臓がひゅっと縮む。慌ててベッドを降りた。

「あなた、ごめんなさい。聞いて、説明するから。私は――」

パァン!

乾いた音とともに、容赦ない平手打ちが頬に叩き...

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