第169章 濡れ衣

小林裕斗は慌てて自分の目を手で覆い、ついでに小林祐奈の目まで塞いだ。

「んんんっ……!」

小林茉由が容赦なく殴りつける。なにやってんの、このクズ男! 子どもたち、車に乗ってるんだけど!

「いつか、その口先と本音が真逆の口に殺される」

葉山墨也は乱暴に彼女を解放した。

「おばあさまが結婚相手の候補を連れてきたんでしょ? あなたにはお似合いだと思うけど。わざわざ育ててきたって話じゃない。ちょっと付き合ってみる気はないの? 中村さん、綺麗な人だし」

「中村麻里のことで怒ってる?」

その一言を聞いた瞬間、葉山墨也の陰った顔に、ふっと笑みが浮かんだ。――嫉妬か。

胸の奥で暴れていた苛立...

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