第172章 見物する二人

「会うのに予約がいるってわけ?」

中村麻里はむっとして言い返した。

「桐谷辰哉。私たち、小さい頃から一緒に育ったじゃない。いつから私にそんな他人行儀になったの?」

「今は立場が違うだろ。丁寧にしておいたほうが無難だ」

桐谷辰哉は笑ってみせる。その言葉は自分に向けたものでもあり、麻里への釘刺しでもあった。

社長は、もう昔の社長じゃない。

中村麻里だって、特別扱いされる女ではなくなっている。

――けれど当の本人は、そんな忠告を聞く気などさらさらない。

麻里の瞳の奥に浮かぶ打算を見て、辰哉はそれ以上口を挟むのをやめた。

幼なじみの情がなければ、そもそも忠告すらしていない。ここまで...

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