第193章 危機

教官は小林茉由が指示を聞かないことに内心うんざりしていた。だが、いま責任を追及している場合じゃない。最優先は――訓練生の安全確保だ。

彼はすぐさま無線を取り出し、スタッフに連絡を入れる。

「新しい訓練生が森で迷った。特別訓練班を出して捜索しろ」

西側は、一般の人間が踏み込めば死にに行くような場所だ。こういうケースは特別訓練班を動かすしかない。

一方その頃。小林茉由は森の中でいくつもの分かれ道を試したが、ゴールへ続く道はひとつも見つからない。空はみるみる暗くなり、彼女の表情も硬くなっていった。

日が落ちれば、森は一気に危険になる。暗闇の中で安全に道を探せる保証なんてない。

――どう...

ログインして続きを読む