第205章 彼女はもう我慢しなかった

葉山墨也は冷えきった声で言い放った。

「ちょっと擦り傷を負った程度で戦闘不能になるようなやつなら、そもそも訓練キャンプにいる資格はない」

鈴木蓮歌は一瞬、言葉を切り、彼の言い分を吟味するように黙った。

葉山墨也は畳みかける。

「試合で、選手が使えるものを使う。これって正当な手段じゃないのか? 俺たち葉山家だって、そういうやり方で成り上がってきた」

葉山家の初代は、没落した家の少年にすぎなかった。だがT市で足場を築けたのは、綺麗事ではない手があったからだ。小林茉由が試合で少し工夫したところで、せいぜい正当防衛の範囲。厳密に言えば、規定違反でもない。

鈴木蓮歌は面倒くさそうに肩をすく...

ログインして続きを読む