第38章 小林家には手を出すな

葉山墨也は、小林雪乃と小林千代の顔に浮かぶ狼狽をちらりと見て、すべてを察した。続いて傍らの菅田康平へ視線を流し、瞳を暗く沈める。

「……いらない」

小林茉由は頷き、菅田康平へ向き直った。

「菅田おじさん、行きましょう。お客様が待ってます」

小林千代は、このまま見逃すのが癪でたまらない。

「あなた――」

だが小林雪乃が母親の腕をきつくつねり、言葉を遮った。

「ねえ、小林部長。どんなお客様に会いに行くの?」

葉山墨也の険しい顔を盗み見ながら、雪乃はわざとらしく胸を張る。

「この前、一緒にお客様に会ったとき、あなたからいろいろ勉強させてもらったの。今回の件、私に任せてくれない? ...

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