第50章 知略と勇気の戦い

小林裕斗が、彼女の電話を取らないなんてありえない。

「先に人を探して」

ボディガードに指示を飛ばした小林茉由は、続けて桐谷陸へ電話をかけた。――裕斗が仕事で手が離せないだけ、そうであってほしかった。

だが、桐谷陸から返ってきたのは否定の返事。

その瞬間、茉由の心は氷の底へ沈んだ。

小林裕斗は、間違いなく何かに巻き込まれている。

慌てて小林祐奈にもかける。……繋がらない。

胸の奥がざわつき、呼吸が浅くなる。

いったい誰が、私の子どもを連れ去ったの。

――どうか、二人とも無事でいて。

車内で、小林祐奈は小林裕斗の胸にしがみついた。

「お兄ちゃん……この人たち、悪い人なの...

ログインして続きを読む