第101章

密室内の放送が鳴り響いた。

「プレイヤーの皆様、周囲の状況に十分ご注意ください。この密室には生身のNPC役者が存在します。彼らに遭遇した場合は、できるだけ声を抑え、かがんで移動し、近くの収納に隠れて追いかけっこを避けてください」

なんだこの密室は、まるで本物みたいじゃないか。

浩二はにやにや笑いながら彼女を見た。

「これ全部作り物だよ。鈴木お姉さん、まさか本当に怖がってるんじゃないでしょうね?」

鈴木夏美はもちろん、この子の前で弱みを見せるわけにはいかなかった。すぐさま反論した。

「そんなわけないでしょ?」

目の前の道は二手に分かれていた。田中雄介が提案した。

「僕と奥様で一...

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