第114章

「後ろ盾なんてないのは、お前がそう望んだからじゃない?そんな力すらお前には備わってないんだろう」

鈴木夏美は自分のデスク上のものを全て片付け、ゆっくりと口を開いた。

「それに、私にコネがあると知っていながら絡んでくるなんて、早く退職したいのかしら?」

田村里奈はこの仕事を大切にしていた。彼女の言葉を聞いて、表情が曇る。

「それにしても、みんな残業して部署の業績のために頑張ってるのに、あなたがこんな時間に帰るなんてどうかと思うわ」

鈴木夏美は肩にバッグをかけ、デスクの上も完璧に整理され、悠々と帰宅する準備が整っていた。

彼女は不思議そうに壁にかかった時計を見た。

「なぜ残業するの...

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