第115章

でもこのことについては、高橋隆一にさえ信用できなかったし、真野雅子に話すなんてもっと無理だった。

信用していないわけではない。ただ彼女は恐れていた。黒幕の手がすでに真野雅子のところまで伸びているのではないかと。ただ彼女自身もまんまと騙されているだけかもしれない。

もし真野雅子が知ってしまったら、きっと彼女はもっと危険な状況に陥ることになる。

鈴木夏美が黙っていると、真野雅子は顔を上げた。

「顔色悪いわね。何か隠してることあるんじゃない?」

長年の友人だからこそ、彼女に何かあれば真野雅子はいつも一番に気づく。

鈴木夏美は慌てて首を振った。

「何でもないわ。たぶん長く立ってたから、...

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