第116章

玄関から急いたノックの音が聞こえ、それに男の荒い息遣いが伴っていた。

鈴木夏美は翌日も仕事があるため、すでに眠りについていた。彼女は一瞬、聞き間違えたのかと思ったが、外からのノックは次第に強くなり、仕方なく起き上がってドアを開けに行った。

ドアが開くか開かないかのうちに、彼女は抱きしめられ、男の大きな手が彼女の後頭部をしっかりと掴んだ。長い脚で一歩踏み出すと、リビングに入ってきた。

「何してるの?」

鈴木夏美は無理やり抱きしめられながら、高橋隆一を正気に戻そうと手を伸ばそうとしたが、彼の長い腕に引き寄せられ、寝室へと連れ込まれてしまった。

そのとき、彼女は高橋隆一の様子がいつもと違...

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