第121章

ドアの外から給仕の物音が聞こえ、鈴木夏美は慌てて彼の腕から身を離し、軽く咳払いをした。

「イメージに気をつけて」

ドアが開き、給仕たちが次々と洗練された料理をテーブルに並べていく。同時に、鈴木夏美がこれまで装飾品だと思っていたキャンドルスタンドに火が灯され、部屋に柔らかな温もりが広がった。

給仕が退室する際、部屋の明かりを消していった。

一瞬で部屋は暗くなり、レストラン内の視界はキャンドルの灯りだけに頼ることになった。

鈴木夏美が顔を上げると、高橋隆一はすでに彼女の向かいの席に座っていた。

洗練された美しい空間で、二人の視線が交わる。

高橋隆一の顔は彫りが深く、キャンドルの暖か...

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