第124章

バスルームから聞こえる水の滴る音に耳を傾けながら、鈴木夏美は携帯のメッセージを眺めつつ、実際にはバスルームの様子を気にかけていた。

高橋隆一の状態は、彼女が想像していたよりもずっと深刻なようだった。

残念ながら、このような状況は環境の改善でしか解決できない。だが彼の病は心の病、自らに課した終わりのない内なる苦しみだった。

どれくらい時間が経ったのだろう、鈴木夏美が中に入った時、高橋隆一はすでに落ち着きを取り戻していた。

彼は静かに浴槽に横たわり、水に全身を包まれるままにしていた。

「夏美ちゃんがあの時お前が水に落ちた時も、こんなに苦しかったのか?」

鈴木夏美は彼の腕を掴み、強引に...

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