第125章

彼女の話がちょうど核心に触れようとしたとき、背後から聞き覚えのあるハイヒールの音が響いてきた。

菊地麗子は慌てて口を閉じ、手元の書類を真剣に見返し始めた。

鈴木夏美が顔を上げると、ちょうど中野莉子が自分の方向に歩いてくるところだった。

昨日の菊地社長への取り入りで疲れたのだろう。中野莉子の顔色は一目で憔悴しているのが分かったが、どこか妙に喜びを浮かべていた。

そりゃそうだろう。菊地社長が握っているこの案件はC組の命運に直接関わるものだ。この実績があれば、C組の全体評価は最下位から脱出できる。

中野莉子は叱責を免れるだけでなく、かなりの額のボーナスを手にする可能性さえある。

先ほど...

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