第133章

「じゃあ、このブローチはどう処理すべきですか?」

田中健太は表情に困惑を浮かべた。確かに鈴木夏美の立場は他の社員とは違う。普通の社員がこんな細工をしたら、高橋社長に手足を折られて会社から追い出されているだろう。

しかし、この人物が奥様となると、高橋社長は見逃すかもしれない。

「まずは田島剛志に返して、口外しないように」

高橋隆一はブローチの蓋を閉め、無造作に箱の中に放り込んだ。

「彼女が一体何を企んでいるのか、見てみたいものだ」

まさか自分が彼女を会社に入れたことで、裏切り者を自ら招き入れることになるとは。鈴木夏美は会社のことなど一切気にかけず、営業部がどれだけの契約を結んだかに...

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