第135章

翌日の朝、鈴木夏美はいつも通り会社へ出勤した。

「鈴木さん、やっと来てくれましたね。通勤途中でホットコーヒー買ってきたんですよ。砂糖抜きで、どうぞ召し上がってみてください」

田村里奈は満面の笑みで近づいてきて、コーヒーカップを手に持っていた。

彼女の変わりやすい性格は知っていたものの、ここまでとは思わなかった。

鈴木夏美はコーヒーを受け取り、穏やかな態度で応じた。

「マーケティング部の担当者を先に訪ねてきます。戻ったらお話しますね」

田村里奈の熱心な視線を背に、鈴木夏美はその場を離れた。

実際、この担当者に会うのは必ずしも彼女でなくてもよかったのだが、聞くより直接見た方が確かだ...

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