第148章

おそらく誰かに話すことができたからだろう、鈴木夏美は話し終えると、胸のつかえが取れたような気がした。

長尾久行の表情は良くなく、拳を固く握りしめて彼女を見つめた。

「お姉さん、あなたの病気は高橋隆一が原因なんじゃないですか?」

その質問に鈴木夏美は言葉を失った。

自分の病気のことだが、鈴木夏美にもはっきりとした線引きができなかった。

彼女はため息をつき、首を振った。

「この世に後悔薬なんてないわ。たぶん私の運が悪かっただけ。他人のせいにはできないわ」

その慰めの言葉は長尾久行には全く効果がなかった。

彼の整った眉目には嫌悪感が滲み、首を振った。

「お姉さんは思い詰めるタイプ...

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