第150章

朝日が窓に差し込み、鈴木夏美は起きて鏡を見ると、目の下に薄く隈ができていることに気づいた。

初めての手術で、しかも付き添いもなく、不安で一晩中眠れなかったのだ。

彼女は動きやすい服装に身を包み、外出の準備をした。

数日前、長尾久行と手術当日に病院で落ち合う約束をしていた。

ドアを開け、鈴木夏美が出ようとした瞬間、突然電話が鳴った。佐々木武からだった。

彼女の手が少し震えたが、それでも電話に出た。

「何かあったの?」

佐々木武の声は切迫していて、かすかな焦りを含んでいた。

「高橋美帆の生前の手がかりを見つけたんだ。住所を送るから、来てくれないか。詳しく話したいんだ」

彼の口調...

ログインして続きを読む