第153章

二時間前。

白石知子は重たいドレスを引きずりながらヘリコプターの方向へ歩いていくと、スタッフが乗り込んでいないことに気づいた。

「目がないの。このドレスこんなに重いのに、一人で乗れっていうの?」

白石知子の声には信じられないという怒りが含まれていた。スタッフは申し訳なさそうな表情を浮かべる。

「ヘリコプターの定員に限りがございまして、結婚式会場でスタッフがお迎えいたします」

彼女は厚手のウェディングドレスを身にまとい、スカートの裾は五人分ほどの幅があった。誰かの手を借りなければ、この美しい結婚式を完成させることは絶対に不可能だった。

白石知子はベールを軽く引っ張り、満足げな表情を...

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