第158章

「お前は、俺の命が欲しいんじゃなかったのか?」

田中健太はほぼ正気を失っていた。

「社長!他の方法を考えましょう!自分を傷つけないでください!」

高橋隆一は答えず、自らを苦しめることで鈴木夏美の無事を取引しようとしていた。

梅津瑛太を裏切ることはできない。そして、愛する女性にも申し訳が立たない。

白石昌治も藤原朝子の状況などかまっていられず、すぐに駆け寄った。

「死ぬなんてダメだ、お前は...」

「近づくな!」

高橋隆一は真っ赤な目で叫び、周囲の人間は全て足を止めた。

彼は捨て身で一歩一歩と大スクリーンに向かって歩き、胸の激痛で膝が折れ、片膝を床についた。

「彼女たちを解...

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