第167章

鈴木夏美は目の前の紳士的な動きをする少年を見つめ、思わず恍惚としてしまった。

最後に贈り物をもらってからどれほどの時間が経ったのだろう。かつては高橋隆一の関心を切望していたが、今となっては、あの頃の考えがなんと愚かだったことか。

「これは薬なの?」

鈴木夏美は慎重に受け取り、開けて中を覗いた。薬品には何の情報も記載されていなかったが、中には数百粒の白い錠剤が入っていた。

彼女は長尾久行を完全に信頼していたため、少しの疑いも抱かなかった。

長尾久行は頷いた。

「この前、お姉さんが病状を打ち明けてくれた後、知り合いに頼んでこの特効薬を開発してもらったんだ。お姉さんが飲めば、かなり苦痛...

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