第187章

鈴木夏美は立ち上がった。彼女は気づかなかったが、上着のポケットから一つの薬瓶が落ちていた。

高橋隆一の視線はその薬瓶に留まり、なかなか離れなかった。

鈴木夏美は彼の視線を追って見ると、一瞬の慌てが目に浮かんだ。

彼女が反応する前に、高橋隆一はすでに一歩先に薬瓶を手に取っていた。

細長い指で薬瓶を回しながら、彼の眼差しには心配の色が滲んでいた。

「これは普段飲んでる薬なのか?」

数ヶ月前の健康診断では何の問題もなかったはずなのに、鈴木夏美の体が日に日に痩せていくのが見て取れた。

彼の心には常に漠然とした考えがあった。夏美ちゃんの体がこんなに弱々しいのは、本当に病気なのではないだろ...

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