第195章

ドアロックが音を立てて開き、長尾久行が中に入ると、目の前の光景が一変した。一般人が見たら、きっと目を丸くして驚くだろう。

彼の前には専門的な機器や装置が並び、薄暗い通路の中で淡い青い光を放っていた。

長尾久行が数歩進んだところで、首筋に鋭いナイフが突きつけられた。

背後から冷たい女の声が聞こえた。

「私の邪魔をするとは、あの人をどこへ連れて行ったの?」

長尾久行は肘を後ろへ打ちつけ、女は後退を余儀なくされた。一瞬のうちに二人の位置は入れ替わり、長尾久行は彼女の手からナイフを叩き落とした。仮面の下から少し苛立った眼差しを向ける。

「言ったはずだ。他の者はどうでもいいが、彼女だけは手...

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