第25章

彼女の笑顔はあまりにも明るく輝いていて、高橋隆一は一瞬我を忘れたが、理性が彼を現実に引き戻した。

これほどの財産を放棄して、代わりに彼の三ヶ月の時間を求めるなんて。

高橋隆一は眉をしかめ、疑わしげな口調で言った。

「鈴木夏美、また何をするつもりだ?」

鈴木夏美は気軽なふりをしたが、心の中は千々に乱れ痛んでいた。

「もう言ったでしょう、私は何も要りません。ただあなたに三ヶ月だけ私と一緒にいてほしいの。三ヶ月後は、あなたが一人でいようと、白石知子と結婚しろうと、私には関係ないわ」

彼女の悲しくも真剣で毅然とした眼差しに向き合い、高橋隆一は初めて、目の前の人物が読めないと感じた。

二...

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