第333章 子供の遺体は見つからず

中に安置されていたのは、斎藤蓮の遺体だった。

彼女の亡骸にはすでに死化粧が施され、あつらえたような衣服を身に纏っている。鈴木夏美の脳裏に焼き付いている、あの血肉に塗れた惨たらしい姿ではない。

斎藤蓮は静かに瞳を閉じ、その唇の端には柔らかな笑みを浮かべていた。それは生前、鈴木夏美のために林檎を剥いてくれていた時の表情と重なる。

鈴木夏美は震える指先を伸ばし、斎藤蓮の頬に触れようとした。しかし、冷たいガラスがその指を阻み、二人を完全に隔絶している。

一雫の涙が氷の棺に落ちた。浅い水痕を残したそれは、瞬く間に滲み、小さな氷の華へと変わっていく。

「……ありがとう。蓮を、綺麗な姿で旅立たせて...

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