第341章 生まれつきの死産児

さらにその女性の身なりは、老婦人が語っていた富豪の令嬢という身分にふさわしいものだった。

鈴木夏美は顔を上げた。

「この人の身元、特定できる?」

「少し厄介だな」

高橋隆一は隠し立てすることなく、事実を告げた。

「数十年も経てば、その希という女性の容姿も大きく変わっているはずだ。田中健太に周辺の聞き込みをさせたが、誰も彼女を見た者はいなかった」

かつて裕福だった家だ。数十年の間に何が起きても不思議ではない。

すでにこの世を去っているか、あるいは海外へ移住してしまったか。

またしても希望が潰えた。鈴木夏美は深く息を吐き、必死に自分を慰めようとする。

いっそ何も見つからなければよかった。微...

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