第342章 お前を自由にする

鈴木夏美は窓の外、荒れ狂う吹雪に視線を這わせ、言葉を選びながら別れを切り出した。

「雅子、しばらくの間、これが最後に会う機会になるかもしれない」

真野雅子の胸に、ぽっかりと穴が開いたような感覚が走る。吹き込む風雪が心を冷やすようだった。

「どうして? ここを離れて暮らすっていうこと?」

鈴木夏美は小さく嘆息した。

「見ての通りよ。私は二人の子供を失った。ここには思い出が多すぎるの。これ以上ここに留まっても、悲しみが募るだけだわ」

彼女は真野雅子に対し、多くの真実を隠していた。ここ数年の経緯も、子供を喪った本当の理由も、真野雅子は何ひとつ知らない。

親友にそんな重荷を背負わせる必要はない...

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