第350章 一目惚れ

「これ、私が飾り付けたの?」

鈴木夏美は壁に掛かっていたミニサイズのてるてる坊主を手に取り、そのふにふにした頭を軽く指で摘まんだ。

高橋隆一の瞳に笑みが浮かぶ。

「君はこういう可愛いものが大好きだったからな。癒やされる、と言って」

鈴木夏美は頷いた。記憶があろうとなかろうと、人の好みというものはそう簡単には変わらないものだ。

廊下を真っ直ぐ進むと、その先には螺旋階段が続いていた。

鈴木夏美のスリッパがフローリングを踏むたび、軽快な音が響く。

窓の外は日差しが心地よい。鈴木夏美がダイニングに入ると、エプロン姿の中年女性が忙しなく立ち働いており、慈愛に満ちた笑顔をこちらに向けた。

「...

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