第360章 人殺しだ

「今度こういうことがあったら、もっと堂々としていなさい。あなたは何も悪くないんだから」

 鈴木夏美が慰めの言葉をかけると、清掃員は恐縮しきった様子で何度も頷き、口を真一文字に結んだまま一言も発しようとしなかった。

 長尾真紀は巻き添えを食うのを恐れてか、適当な言い訳をしてそそくさとその場を後にする。高橋隆一の視線もまた、その清掃員に注がれていた。その眼差しには、微かな疑念の色が混じっている。

 体格にはどこか見覚えがある。だが、清掃員は背を丸めており、身につけている作業服もかなりゆったりとしたサイズのものだ。外見上、これといった異常は見当たらない。

 事の解決には少々曲折があったものの...

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