第364章 俺の手に掛かるな

「指紋がないのは事実だが、目撃者がいる」

瀬戸玲奈は片足でドアを塞ぎ、決して通そうとはしない。その態度は強硬そのものだった。

高橋隆一は怒りのあまり、乾いた笑いを漏らした。目の前の男を睨みつけ、拳を固く握りしめる。今すぐにでも殴りかかりたい衝動を必死に抑え込んだ。

「たかが社員の不祥事だろう。俺を連行する権限がどこにある」

「高橋氏の会社には脱税の容疑がかかっている。まさか高橋社長、ご存じないとは言わせないぞ?」

高橋氏の財務報告書に不備があったことなど一度もない。完全なるでっち上げだ。

高橋隆一の額に青筋が浮かぶ。誰かが裏で糸を引いているのは明白だ。瀬戸玲奈が理由もなく噛みついて...

ログインして続きを読む