第368章 その座は代わってもらう

瀬戸青葉の顔色が、さっと蒼白に変わった。まさか高橋隆一がその事実を知っていたとは、夢にも思わなかったからだ。

かつて彼への求愛が実らず、さらには両足の自由まで失った彼女は、絶望の淵で自分より二十歳も年上の門脇宗介に嫁いだ。

そこに愛などない。門脇宗介には財力があり、不自由のない生活を保証してくれた。それだけのことだ。

どうせ心から愛する人と結ばれないのなら、隣にいるのが誰であろうと関係ない――そう割り切っていたはずだった。

瀬戸青葉は、目の前の男を重い眼差しで見つめた。

彼女はずっと、高橋隆一の本命は白石知子だと思い込んでいた。二人の婚約はあれほど世間を騒がせ、誰もが白石知子こそが未...

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