第371章 あなたと共に

高橋隆一はその言葉に潜む悪意に気づかなかった。差し出されたケーキを受け取ろうと手を伸ばした瞬間、それは彼の体に叩きつけられた。

高橋唯人はケラケラと笑い、その顔には罪悪感など微塵もなかった。

「あーあ、ごめんごめん。手が滑っちゃった」

そこでようやく、隆一は相手の悪意を悟った。だが、立ち去るにはもう遅すぎた。

彼は幼い頃から祖父の元で育ち、自分に弟がいることさえ知らなかったのだ。

祖父の過保護なまでの庇護は、隆一から常人の感情の機微を理解する機会を奪っていた。

驚いて見つめる隆一に対し、唯人は露骨な嫌悪の表情を向けた。

「本気で俺がお前を兄貴と認めるとでも思ってんのか? お前なんかた...

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