第372章 予想通り

その声は決して大きくはなかったが、静まり返った場にいる全員の耳にはっきりと届いた。

彼女の加勢を得て、高橋隆一の胸中に巣食っていた苛立ちは潮が引くように薄れていった。彼は小さく息を吐くと、鈴木夏美の背中を優しく撫でる。

「来たからには、座れ」

互いを見つめ合う二人の視線は、まるで熱を帯びて絡み合っているかのようだった。その光景が癪に障ったのか、高橋唯人が声を張り上げる。

「おい高橋隆一。ここは株主総会の場だぞ。夫婦漫才を見せつける場所じゃねえんだよ」

言いながらも、彼の視線は鈴木夏美にへばりついたまま、片時も離れない。

鈴木夏美は顔を巡らせ、彼を冷ややかに見据えた。

高橋唯人の容貌は、...

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