第377章 聞き間違い

騒動から数日が経過し、底を打った高橋グループの株価は、まるで嘘のように急騰を見せていた。

連日の報道で鈴木夏美の名も取り沙汰され、今や彼女の素性は街中の知るところとなっていた。世間は二人の関係を「奇跡のようなロマンス」と持て囃し、熱狂している。

高橋グループに関する取材依頼は殺到したが、高橋隆一はメディアへの露出を一切拒絶した。彼は別荘に籠もり、鈴木夏美と二人きりで、穏やかな時を過ごしていた。

広いソファに腰を下ろした夏美は、キッチンで忙しく立ち働く男の背中を静かに見つめていた。その瞳には、慈しみの色が滲んでいる。

彼の壮絶な過去を知った今、夏美の胸にあるのはただひたすらな「心疼き(い...

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