第382章 ブレスレット

その場にある贈り物は、卓上に置かれた腕輪だけだった。

「あまりに高価なものですから、いただくわけにはまいりません」

鈴木夏美は、自分の立場に居心地の悪さを感じていた。高橋隆一とは夫婦という関係にあるが、意識を取り戻して以来、夫婦としての営みは一度もない。まるで夢の中を彷徨っているような自分が、これほど高価な贈り物を受け取れるはずがなかった。

桜井蘭は穏やかな口調で諭すように言った。

「これは高橋家に代々伝わる装飾品なの。私が嫁ぐ前、お義母様が私を気に入ってくださって、自らこの腕輪を託してくれたわ。今の私には身につける資格はないけれど、あなたは違う」

彼女と高橋修二の間にあった愛憎劇につ...

ログインして続きを読む