第386章 資格不足

高橋隆一の瞳には深い苦悶の色が滲んでいた。彼は必死に己を正当化しようと言葉を紡ぐ。

「俺は彼女の面倒を見ると約束したんだ。彼女の願いをすべて叶えてやると……白石知子の唯一の願いは、俺と結婚することだったんだから……」

「貴様と添い遂げたい女など、世の中に幾らでもいる。あんな女が何だと言うんだ?」

高橋家の当主である祖父は、普段あれほど切れ者である孫が、色恋沙汰でこれほどまでに愚かな失態を演じるとは夢にも思わず、あやうく卒倒しかけた。

「貴様のやったことは、救いようがないほど愚かだ。過ちを犯しただけでなく、記憶まで奪うとは……。彼女の記憶が戻る日が来るとは考えなかったのか?」

「いや、薬...

ログインして続きを読む