第393章 冒険すべきではない

彼女が忌まわしい記憶を反芻するのをやめたのを見て、高橋隆一は密かに安堵の息を吐いた。そして、意識的に彼女の思考を誘導し始める。

「お前もそう思うだろ? こんな真似をする奴は、お前の仇に違いないってな」

鈴木夏美は茫然自失といった様子で、自分が完全に彼の手のひらで踊らされていることに気づく気配もない。

彼女は拳を固く握りしめ、華奢な体を小刻みに震わせた。

「……ええ、そうね。あなたの言う通りだわ。こんなところで弱気になってはいられない。立ち上がって、犯人を見つけ出さないと」

そう口にすることで精神的な支柱を得たかのように、彼女はふうっと息を吐き出す。

「疲れた……。とりあえず、戻りましょ...

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