第394章 包囲の一時停止

中野は事態が飲み込めずにいたが、桜井蘭の真剣な眼差しに押され、ただ黙って小さく頷いた。

桜井蘭は鈴木夏美の部屋の前へと歩み寄った。ドアに鍵は掛かっていない。彼女は迷わずノブを回し、中へと足を踏み入れた。

鈴木夏美は眠りについていたが、その安息は浅いようだった。身体が小刻みに震え、何か恐ろしい悪夢に苛まれている様子だ。

「来ないで……私の子供を傷つけないで!」

鈴木夏美の手がシーツを強く握りしめる。力なく眉を寄せ、必死に抵抗しようとしているが、まるで金縛りにでもあったかのような息苦しさが彼女を覆っていた。

「お願い……私の子は、死んでない!」

鈴木夏美は激しく首を振った。明らかに悪夢...

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